栄養がないと思われがちだけど

 まだまだ残暑が厳しい9月は多くの作物が旬を迎える時期です。美味しさに加えて香りが良いものも多いのが9月野菜の特徴です。

 9月の旬の食材はカボチャ、サトイモ、レンコン、空心菜、栗、いんげん、ぎんなんなど。代表的なものだけでもこんなにあります。

その中でも今回は秋ナスに触れていきたいと思います。「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざを耳にされたことはありませんか?このことわざは、ナスは体を冷やすので、出産を控えた嫁にたべさせるのはよくない、という解釈から、妊娠中はナスを控えたほうがいい、と言われることがあります。しかし、実際に妊娠中に食べたからといって問題はありません。ただ、大量に食べ過ぎると内臓を冷やしてしまう可能性はありますので、気になる場合は生姜やネギと一緒に食べることもおススメです。

ナスって栄養があるの?と思われるかもしれません。確かにほかの野菜と比べて、ずば抜けて栄養豊富とはいえませんが、食物繊維、カリウム、葉酸、ポリフェノールなどの栄養素を摂ることはできます。栄養がないと思われるのは、ナスに含まれる水分が約93%と多いからです。そのため100gあたりのカロリーは18kcalとカロリーが低い野菜に分類されます。栄養成分は微量ですが、ビタミンやミネラルはバランスよく含まれています。

特に夏に摂りたいカリウム。これは余分な塩分や水分を対外に排出してくれるので、高血圧の予防やむくみの解消に役立ちます。水分とともに体の熱を放出してのぼせやほてりを鎮める効果もあり、だるさや食欲不振などの夏バテ症状を予防、緩和することが可能です。

食物繊維は比較的高く、腸の働きを整える作用があります。便秘の予防、改善はもちろん、血糖値の上昇を緩やかにしたり、血中コレステロール値を低下させる働きがあります。

ポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、免疫力の向上やアンチエイジングのほか、がん予防にも効果があります。これはブルーベリーなどと同じアントシアニン色素などで、視力や眼精疲労の改善にも効果的です。このポリフェノールが含まれているのは特に紫の皮の部分ですので、栄養面から考えると皮はむかず皮ごと食べることをおススメします。

また、あく抜きをすることでカリウムやポリフェノールなどの水溶性の栄養素が流れ出てしまうので、水にさらす時間は10分ほどにしましょう。また、煮たり、茹でたりするよりも、揚げたり、炒めるといった油を使った調理法のほうが、栄養素を閉じ込めることができます。栄養をしっかり摂るためにも、発酵食品であるお味噌汁になすびを入れたり、ぬか漬けなどにするといいかもしれませんね。

一覧に戻る